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蓄電池・バッテリーの処分方法は? 廃棄費用や処分前に知っておきたいこと

蓄電機能が落ちてきて、不要になった蓄電池やバッテリー。使っているときは便利でも廃棄する際には処分方法に困り、職場や家庭に放置されていることも多々あるようです。

蓄電池・バッテリーは、人体や地球環境に有害な物質を含んでいたり、そのまま廃棄すると発火や破裂の恐れがあったりするため、通常のゴミとして廃棄することは禁止されています。

今回は、使用済みの蓄電池・バッテリーの処分に悩んでいる事業者向けに処分方法や費用などを紹介していきます。

蓄電池・バッテリーは「特別管理産業廃棄物」の混合物
廃棄物処理法で定義されている「特別管理産業廃棄物」とは、「爆発性、毒性、感染性その他の人の健康又は生活環境に係る被害を生ずるおそれがある性状を有する廃棄物」を指します。「特別管理産業廃棄物」は通常の廃棄物よりも厳しい処理基準と規制が適用されています。蓄電池・バッテリーは、内部の電解液に使用される希硫酸がpH2.0以下であり、特別管理産業廃棄物の「腐食性廃酸」となるため、「廃プラスチック類(ケース)」「金属くず(極板、端子等)」及び「特別管理産業廃棄物である廃酸」の混合物です。

そもそも蓄電池・バッテリーとは? 家庭用と産業用の違いは蓄電容量にあり

蓄電池・バッテリーとは充電によって電池を溜め、繰り返し充電して使える電池のこと。身近なところでは、パソコンのバッテリーやスマホ、電気自動車のリチウムイオン電池などに使われています。蓄電池には、大きく分けて「家庭用蓄電池」と「産業用蓄電池」の2つの種類があり、大きく異なるのは蓄電容量ですが、オフィスの使用場所や規模によって使い分けられています。

家庭用蓄電池

一般住宅向けに作られた蓄電池なので、どの家庭にも設置しやすいようなサイズが特徴。最近では、太陽光発電システムと連携できるものも多く、停電時に家全体の電気をバックアップ可能な容量の商品も。家庭用蓄電池では鉛蓄電池やニッケル水素電池、リチウムイオン電池などがよく使われます。

産業用蓄電池

オフィスや工場、店舗、公共施設などでバックアップ用電源としての利用が多いことから、家庭用と比べて蓄電容量が数倍〜数十倍大きく、寿命も長いのが特徴。また、産業用蓄電池にはUPS(無停電電源装置)と呼ばれる特別な機能が備わっていることが一般的です。これは停電になった瞬間に電源の切り替えを行い、社内の電子機器の電源が落ちないようにする装置で、電源が落ちないようになるため、サーバーのデータ損失を防ぐことができます。

大容量ならでは。産業用蓄電池の活用例

  • 工場や建設現場などの災害時の非常用電源

  • 災害時の地域の避難拠点の非常用電源

  • 再エネ設備と連携させた電力の自給自足

平常時にも省エネ効果を期待できる「ピークシフト」
蓄電池の利用法として注目されているのが「ピークシフト」。例えば、電力負荷の少ない夜間に充電を行い、電力負荷がピークとなる昼間に電力を供給する方法で、東日本大震災以降に電力負荷を平準化する技術として需要が高まっています。


参照元:蓄電池のサスティナビリティに関する研究会(経済産業省)

蓄電池の需要
矢野経済研究所の調査によると2021年に世界で廃棄された車用リチウムイオン電池の量は、推計9万6850トンにも及ぶといわれています。ガソリン車から電気自動車へと変化していくなかでリチウムイオン電池の使用量が減ることはありません。経済産業省で公開されている資料では、2050年までに車用の蓄電池や定置電池の需要が約47倍に膨らむと予測されています。

参照元:リチウムイオン電池のリユース・リサイクル世界市場に関する調査を実施(2021年)

備えあれば憂いなし。災害時に役立つ蓄電池・バッテリーの重要性

2011年の東日本大震災や2022年に起きた集中豪雨など、自然災害は年々激しさを増しており、電力供給網が被害を受けて停電や電力不足になることが増えています。電子機器に溢れた便利な現代だからこそ、必要最低限の電力を確保しなければなりません。

蓄電池は、緊急時に病院や老健施設、建設現場など、生命にかかわる医療機器や通信機器などの重要なシステムを維持するためには欠かせません。電源が利用できない孤立した場所でも電力を供給することができるなど、防災時の強い味方になります。

また、緊急時には社員や家族の安否確認だけでなく、インターネットやSNSを通じた災害情報の発信・収集、停電した際の照明確保などをスマホ1台で完結させることができます。ただ、スマホも電気がなくなってしまえばただの板となってしまうため、持ち運びに便利なモバイルバッテリーが役立ちます。

蓄電池・バッテリーの主な3つの処分方法

蓄電池の処分方法

① 広域的処理認定業者に引き取ってもらう
広域的処理認定業者とは、廃棄物の広域的な処理を行うことを環境大臣から認定された業者のこと。地方自治体の廃棄物処理の許可が不要であり、引き取りから再資源化までを一貫して任せることができます。また、蓄電池を処理する際に必要とされる複数の契約や管理・報告は、広域的処理認定業者がすべて請け負ってくれるため、手間がかかりません。

広域認定業者に処理を依頼した場合、日本国内でのリサイクルによる資源の有効利用ができます。また、広域認定された業者であれば特定の地域のみならず、国内すべてで対応が可能なため、効率よく処分することが可能です。

通常の買い取り業者では、廃棄物として扱わないためマニフェスト(処理委託した産業廃棄物が契約内容どおりに適正処理されたかを確認するための管理伝票)が発行されず、中古販売、不適切な輸出、環境に悪影響を及ぼすような不適切な処理などの最終的な処分方法が把握できない場合があります。広域認定業者に依頼した場合はマニフェストの発行により、これらの心配は不要です。

広域認定業者が処理できる電池の種類
開放型鉛蓄電池(ベント形据置鉛蓄電池)、密閉型鉛蓄電池(制御弁式据置鉛蓄電池)、密閉型アルカリ蓄電池(シール形ニッケル・カドミウムアルカリ蓄電池)、小型制御弁式鉛蓄電池、開放型アルカリ蓄電池(据置ニッケル・カドミウムアルカリ蓄電池)、電気車用鉛蓄電池、船用鉛蓄電池、電源装置及びそれらの付属品(整流器、充電器、インバーター、蓄電池盤、蓄電池架台、接続線など)

参照元:一般社団法人 電池工業会

② 蓄電池を購入した販売店に処分してもらう
他社の自動車のバッテリーを販売しているガソリンスタンドに、使用済みバッテリーの処分を依頼するイメージです。産業用蓄電池も同じように販売店と製造メーカーが別の場合がありますので、まずは販売店に相談してみてください。販売店の中には処分を受け付けていないところもあるため、その場合は先述の広域的処理認定業者に連絡するとよいでしょう。

③ 蓄電池の製造メーカーに処分してもらう
蓄電池を製造しているメーカーであれば、処分を請け負ってくれるか、処分業者を紹介してくれます。メーカーに処分してもらう際の注意点としては、特定のメーカーのものしか処分してくれない場合があること。例えば、蓄電池製造メーカーのニチコンでは、ニチコンもしくは京セラ製の蓄電池のみが回収の対象となっています。その他のメーカーの蓄電池を処分したいとなった場合は、別の会社に頼まなければなりません。

販売店に相談してメーカーを紹介されたものの、そのメーカーでは処分できないとなった場合はこちらも先述の広域的処理認定業者に連絡するとよいでしょう。

車バッテリーの処分方法

① バッテリーを購入した販売店に処分してもらう
車バッテリーであれば、購入店舗で回収してもらえて、販売店にもよりますが無料〜数百円ほどで処分してもらえます。また、新しいバッテリーを購入または交換する際には、古いバッテリーを引き取ってくれる店舗もあります。

② ガソリンスタンドに処分してもらう
完全セルフの店舗では回収できないケースもありますが、ほとんどのガソリンスタンドでは回収してもらえるでしょう。料金も店舗によってさまざまですが、無料〜数百円ほどが相場となります。

モバイルバッテリーの処分方法

① 家電量販店やホームセンターでリサイクルしてもらう
回収用のリサイクルBOXが設置されている場合が多いため、持ち込んで処分することができます。大型のスーパーにも設置されている場合があるので、買い物のついでにチェックしてみることをオススメします。

② 携帯キャリアの店舗で引き取ってもらう
スマホなどを取り扱っている携帯キャリアの店舗でも、不要になったモバイルバッテリーを引き取ってくれることがあります。店舗ごとに対応方針は異なるため、一度相談してみることをオススメします。

蓄電池を処分する際の4ステップと知っておきたいこと

ステップ① メーカーや販売業者に問い合わせる

蓄電池・バッテリーの処分が決まったら、まずは購入した販売業者もしくは、蓄電池・バッテリーのメーカーに問い合わせてみましょう。基本的には販売業者もしくはメーカーが処分方法や業者を紹介してくれるので、指示に従えば問題ありません。

ステップ② 電気設備工事をする

処分業者に頼む前に電設工事をしなければなりません。これは蓄電池と電気の切り離しをする工事のことです。回収業者でも電設工事を行うことは可能ですが、別途費用を請求されたり、回収に時間がかかったりしてしまうことがあります。そのため、電設工事は蓄電池を購入した販売店・施工店に依頼するとよいでしょう。

ステップ③ 回収依頼をする

特別管理産業廃棄物の回収・処理をしている業者に回収依頼をしましょう。電設工事が完了したらいつ回収してもらうのかや、費用やどのくらいの時間がかかるかを相談してください。

一般的な産業廃棄物処理業者に処理を依頼するには、

  1. 収集業者との契約

  2. 処理業者との契約

  3. マニフェストの発行・管理

  4. 自治体への処分量の報告

が必要なため、かなりの手間がかかります。しかし、広域的処理認定業者であればこれらすべてを1つの会社で請け負うため、手間を省くことができます。

ステップ④ 処分費用を払う

蓄電池・バッテリーの設置場所や運搬工数、製品の型番などによって処分費用は異なります。支払いのタイミングは当日払い、前払い必須、後払いが可能など業者によって変わるため、確認しておきましょう。処分費用の内訳やだいたいどの程度コストがかかるのかは次で解説いたします。

蓄電池の処分にかかる費用は7万円〜15万円が目安

蓄電池の処分にかかる費用の内訳はおもに「引取り、回収、運搬、解体、処分」。処分にかかる費用は蓄電池が設置されている地域や、使用している蓄電池の型番によって変わります。そのため、蓄電池処分のためにかかる費用は、7万円〜15万円が目安です。蓄電池の処分を考える際には、処分方法のみならず費用がどの程度かかるのかについても考えておきましょう。

ピークカット機能も兼ね備えた、蓄電池と発電機のハイブリッド「リブグロBCPバッテリー」

環境エネルギーベンチャー Rebglo.が提供する「リブグロBCPバッテリー」は、発電機と蓄電池の両機能を兼ね備えた「電気を溜めながら使う」ことのできるシステムを搭載。停電時にはAI切替器が検知し、無瞬断で蓄電池から電力を供給したり、規定の電力使用量を超えそうなときに蓄電池から電力を供給するピークカット時の対応機能もあり、平常時から緊急時まで安定した電力供給を実現できます。 加えて、国産EV(電気自動車)で使用されたバッテリーをリユースして製造しているため環境負荷もゼロ。Rebglo.はSDGsの目標7・13にも貢献する本事業を通して、大きな環境保全のサイクルを回すことを目指しています。

執筆:松村彪吾
編集:Number X