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企業・家庭における防災対策 | 対策方法や事例、取るべき行動・マニュアルについて解説

災害は、いつ発生するのか誰にも分かりません。そのため、常日頃から災害に備えておく必要があります。一般家庭はもちろん、企業の場合は防災対策が不十分であると経営に取り返しのつかない影響を与えかねません。

しかし具体的な対策方法や、災害時に取るべき行動について疑問を抱いている方も多いのではないでしょうか。本記事では具体的な事前対策について、企業での事例もあわせて紹介します。記事を参考に、防災対策についての正しい知識を身に付けてください。


地震、台風、大雨、火災、大雪、津波、テロ、ミサイル、感染症… 災害の種類は幅広い


防災とは災害を未然に防止することや、発生した場合における被害の拡大を防ぎ、復旧を図ることです。災害の種類については次のとおりです。

主な災害の種類
地震:地殻(地球の表面にある固い地層)が動いた際に生じる自然現象。これにより、津波をはじめ、建物倒壊、火災の発生、土砂崩れ、液状化現象などが生じる
津波:地震や火山噴火などによって生じる大規模な波。海岸付近の住宅や商業施設、港湾などに被害をもたらす
火災:人の意図に反して発生、もしくは拡大し、消火の必要がある燃焼現象。炎や煙によって人命や建物などの財産被害が発生することがある
大雨・台風:熱帯低気圧のうち、北西太平洋または南シナ海に存在し、なおかつ低気圧域内の最大風速(10分間平均)がおよそ毎秒17m以上のもの。強風や高波により、建物の倒壊や停電、浸水被害、土砂災害などが発生する
大雪:激しくたくさん降る雪のこと。屋根崩落や凍結、転倒などの被害をはじめ、交通機関や生活に支障をきたすことがある
テロ、ミサイル:人間が原因となって発生する災害。人命被害や社会・経済活動への影響が大きいことがある

国土交通省が作成している『国土交通白書』によると、近年の日本では、地震や津波などの被害に加えて、風水害などの災害が多発している傾向があり、停電などのライフラインが遮断される可能性があるため、事前の備えをしっかりと行うことが必要です。

災害から命を守るためには、正しい知識や国が推奨する防災対策の他にも、事前の備えが非常に重要といわれています。以下の国土交通省により作成された資料では、防災事例や防災の必要性について言及されているため参考にしてください。

参照
防災・減災が主流となる社会の必要性
発災前の確実な避難による効果事例集

身の安全を守るには「正しい知識と8割の備え」。家庭で行う4つの防災対策

未然防止とは、将来のリスクを予測して対策を行い、トラブルや事故を未然に防ぐこと。未然防止対策を知っておくことで、有事の際に被害を最小限に抑えられる可能性が高まります。

家庭でできる防災対策① 連絡方法と連絡先の擦り合わせ

まずは、災害時の連絡方法と連絡先を事前に決めておく必要があります。とくに災害時には、携帯電話の回線が繋がりにくく、長時間連絡が取れなくなってしまうことも考えられます。

緊急時にどのように連絡を取るのか家族と確認をしておくことで、急な災害時でも安否確認が取りやすくなり、安心に繋がるでしょう。身内だけでなく、仕事仲間に対しても連絡が取れる対策を考えておくことをオススメします。

具体的には、以下のような災害用伝言ダイヤル伝言板を用いて連絡を取るようにするなど、明確にルール決めをしておくと良いでしょう。また、政府は素早く情報を獲得するためにTwitterを活用することも呼びかけています。

参照:災害関連ツイッター | 首相官邸ホームページ

家庭でできる防災対策② 飲食物と生活必需品の準備

災害時に備えて物資を準備しておくことも、私たちが取り組める具体的な対策の一つです。準備する飲食物の賞味期限が切れる可能性も考えられるため、定期的にチェックすることを意識しましょう。

首相官邸のHPでは、最低でも3日分の物資を用意することが推奨されています。

食料・飲料・生活必需品などの備蓄の例(人数分用意しましょう)
・飲料水:3日分(1人1日3リットルが目安)
・非常食:3日分の食料として、ご飯(アルファ米など)、ビスケット、板チョコ、乾パンなど
・トイレットペーパー、ティッシュペーパー・マッチ、ろうそく・カセットコンロなど
※ 大規模災害発生時には、「1週間分」の備蓄が望ましいとされています。
※ 飲料水とは別に、トイレを流したりするための生活用水も必要です。日頃から、水道水を入れたポリタンクを用意する、お風呂の水をいつも張っておく、などの備えをしておきましょう。

引用:災害に対するご家庭での備え~これだけは準備しておこう!~ | 首相官邸ホームページ


とくに断水に備えて、水の確保は必須です。水分補給だけでなく、身体を洗ったり、トイレを流したりする際にも使われます。最低でも家族の人数×10Lの水を備えておきましょう。

家庭でできる防災対策③ 避難場所と経路の確認

災害が起こっても慌てずに避難するために、お住まいの自治体から発表されているハザードマップや防災マップの情報を事前に確認しておくことが大切です。

また発生した災害によって適した避難所も異なります。国土交通省のポータルサイトでは、各地域の避難所情報が災害の種類別に表示されるので、避難時の参考にしてはいかがでしょうか。

加えて、避難場所を把握するだけでなく安全かつ迅速に到着できるよう、自宅からの最適な避難経路を知っておきましょう。普段から家族と非常時はどの場所に避難するかを話し合っておくことも重要です。

家庭でできる防災対策④ 家具や設備の配置に配慮する

家具や設備の配置にも配慮する必要があります。もし、被災によって家具が倒れたとしても出口が確保できるよう、出入り口付近には家具や設備を配置しないようにしましょう。

阪神・淡路大震災や新潟県中越地震などの過去の大きな被災では、多くの方が倒れてきた家具や設備の下敷きになったことで怪我もしくは亡くなりました。

文部科学省所管の独立行政法人防災科学技術研究の発表によると、阪神淡路大震災では死者の80%が家屋の倒壊、家具の下敷きになって即死しました。即死した人のうち、室内家具転倒が原因の人のは約600人(全体の約10%)と推定されています。

新潟県中越地震では、家具類の転倒・落下による負傷者が全体の4割を占めたとされています。直撃を免れても、室内散乱により避難・救助の妨げや復興の足かせになりました。対策として「家具が倒れないように、壁に固定する」「寝室や子供部屋には、可能な限り家具を置かない」などが考えられます。

(参照:地震による家具の転倒を防ぐには | 総務省消防庁

家庭でできる防災対策⑤ 蓄電池の設置

電力を確保するために、蓄電池(バッテリー)を設置しておくこともオススメです。また被災時は公共の電力が切れる可能性があるため、電力を確保できる手段を用意しておくと安心です。

水道に加え電気まで止まってしまうと、スマートフォンの充電ができずに家族と連絡が取れないという事態にもなりかねません。災害時のライフラインを失わないために、十分な量の電力を溜められる蓄電池の設置を検討してみてください。

環境省が2017年に出したデータによると、1世帯あたりの年間電力消費量の平均は4322kWh。1日平均では約11.8kWhです。停電時にはこの1/3程度の消費量になると言われており、最低でも4kWhの蓄電池を備えておくことをオススメします。

出典:家庭でのエネルギー消費量について

一般家庭はもちろん、企業においても蓄電池の重要性は非常に高いといえます。電力が供給されなくなることにより、コンピューターやサーバー、医療機器の停止や誤作動、エレベーターの停止など、多くの被害が考えられます。リスクを抑えるためには、蓄電池の導入がオススメです。

企業が行うべき防災PDCAのポイントは、計画・マニュアル・訓練

防災は一般家庭だけでなく、安定した事業の継続の観点から企業も力を入れるべきものです。ここでは企業ができる防災対策について紹介します。

企業の防災対策① 社内での防災訓練

出典:日本赤十字社│京都府総合防災訓練の様子

企業の防災対策として防災訓練があげられます近年、防災対策を進めている企業が増えており、緊急時に備えて社員全員で防災訓練を実施している傾向があります。

また、最近では防災用のVRやARなども用意されており、よりリアルな状況化で防災訓練を行えるようになりました。VRやARを使用した防災訓練では次のようなことが体験できます。

  • 地震の揺れや家具倒壊

  • 火事

  • ガラスの飛散

災害の恐怖心を企業で働く社員が事前に理解しておくことは非常に重要です。いざという場面でも落ち着いて対応できる可能性が高くなるでしょう。

(参照:自信から命を守る「7つの問いかけ」|東京消防庁

企業の防災対策② 防災マニュアルの作成

企業が負担する被害を最小限に抑えるために、防災マニュアルの作成をオススメします。防災マニュアルでは以下のことを規定するとよいでしょう。

  • 災害時の役割分担

  • 緊急連絡網

  • 避難場所

ただし、他社のマニュアルを同じように流用しただけでは、災害時に適切な行動が取れません。自社の特徴に合わせた防災マニュアルの作成を行った上で、従業員に定期的にアナウンスをするなどの意識付けをしていく必要があります。

以下の資料では、防災マニュアルを作成する際の一例が記載されています。何から手を付ければ良いか分からないという際には、このような資料を参考にしたうえでマニュアルを作成してみましょう。

(参照:中小企業の防災・事業継続の手引き

企業の防災対策③ BCP計画を立てる

BCPとは「Business Continuity Plan」の頭文字を取った言葉で、事業継続計画と訳されます。たとえば災害が原因で緊急事態に陥った場合、事業資産への損害を最⼩限にとどめ、主幹ビジネスを継続しつつ早期に復旧できるようにするための計画のことを指します。

BCPを整えておくと、競合競争力が高められる効果も期待でき、万が一の被災時にも企業としての安心感を社員やお客様にアピールできるでしょう。以下の記事では、BCP計画の具体的な立て方や重要性について詳しく解説しています。ぜひあわせてご一読ください。

サントリー、プレデンシャル生命の防災事例から見る、企業の取り組み

防災事例① サントリーの防災事例

サントリーは2016年4月に起きた熊本地震において、被災前から安否確認システムの導入や防災訓練の実施、防災対策本部の設置などの対策を行いました。よって、現地工場の早急な事業再開に成功しました。

熊本地震で莫大な被害を受けた企業が多い中、被災直後に迅速に現地従業員の安否確認をしたことが、事業の早期再開に繋がったと言われています。通常、工場復帰には約半年〜1年以上の期間が必要になります。しかし、サントリーではメイン工場の復旧に数ヶ月の期間を必要とする中で、他地域の工場で代替生産を行なったことも早期再開に繋がった理由の一つとも考えられます。

(参照:徹底した企業防災で事業継続計画を 防災事例や取り組みを紹介 | NECソリューションイノベータ

防災事例② プレデンシャル生命の防災事例

プレデンシャル生命ではこれまでに65回、1500人の社員による訓練を行なっており、現在でも防災訓練を実施しています。プレデンシャル生命の大規模災害対応模擬訓練では、より実際の被災状況を想定したシナリオ非提示型の訓練を実施しており、危機対応能力や防災意識の工場を狙っています。さらに、防災訓練を発展させた施策として、本社にて1泊2日の帰宅困難対応訓練も実施しています。

大企業の中でも「防災」に対する意識を強く持っています。防災訓練は一人ひとりの従業員を守るためにも大切な対策方法です。

(参照:大規模災害対応模擬訓練を継続的に実施

災害時の非常用電源機能に加えて、ピークカット機能も兼ね備えた、蓄電池と発電機のハイブリッド「リブグロBCPバッテリー」

防災は自分の命以外にも、大切な家族や身内、社員の命を守るために重要な対策です。万が一の大きな災害に対策できるよう知識と必要な道具を準備しておきましょう。

環境エネルギーベンチャー Rebglo.が提供している「リブグロBCPバッテリー」は、発電機と蓄電池の両機能を兼ね備えた「電気を溜めながら使う」ことのできるシステムを搭載しています。災害時の停電に役立つだけでなく、平時でも日常的に活用することでコスト削減に貢献する唯一の電力BCPシステムです。

停電時にはAI切替器が検知し、無瞬断で蓄電池から電力を供給します。また、規定の電力使用量を超えそうなときに蓄電池から電力を供給するピークカット時の対応機能もあります。よって、平常時から緊急時までの安定した電力供給が実現可能です。 

さらに、国産EV(電気自動車)で使用されたバッテリーをリユースして製造しているため環境負荷もゼロです。Rebglo.はSDGsの目標7・13にも貢献する本事業を通して、大きな環境保全のサイクルを回すことを目指しています。 

執筆:松村彪吾
編集:Number X


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